プロローグ ‐1‐

冴えない日だったのは、確かだ。
なんでこんなに上手く行かないのか、と苛立ったのも確か。

真面目にがんばってるはずの人間が、なんでこんな目に遭うのか。
要領よく賢く立ちまわる、それが出来ないのはなんでだ。

イライラしながら、店内で揚げたてポテトをかじっていた。
禁断の、晩ごはん食べてからのファーストフードだ。
なんたる悪行。
だがそうでもしないとやってられない。
でもそれは、ある意味、自傷行為でもあるわけで……

なんで結局、自分で自分を傷めつけてるのか。
しわ寄せはさらに自分に行くだけじゃないか。
そうして、ため息が漏れた。

あ、落としましたよ……?

ふと視界の端に落ちていく本が見え、思わず手を伸ばした。
あ、いや、本ではない。手帳か。
落とし主の女性が振り返った。

ありがとうございます!!

メガネをかけたその人は嬉しそうに顔をほころばせた。

あなたは……いい方ですね?
その手帳、差し上げます。

は?